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株式会社インザライフ代表取締役
コラム

事故修理で代車費用が出ない?整備工場が知るべきレンタカー許可と保険の仕組み

「長年、お客様のためにと無料で出し続けてきた代車。しかし、昨今の車両価格や保険料の高騰で、正直なところ経営の重荷になっていませんか?」

さらに頭を悩ませるのが、保険事故の際のアジャスターとの交渉です。「わナンバーじゃないと代車費用は出せません」と突っぱねられ、泣き寝入りした経験を持つ経営者様も少なくないはずです。実はその対応、法的に見れば保険会社側の主張が正しいケースがほとんどなのです。

本記事では、自動車業界専門の経営コンサルタントが、整備工場の「代車」を取り巻く法的なリスクと、それを「収益を生むレンタカー」へと変えるための具体的な手順を解説します。昔ながらの商習慣を見直し、適正な利益と安心を手に入れるための戦略的転換。そのヒントをここにまとめました。

この記事のポイント

  • 整備工場の「代車」と「レンタカー」の決定的な違い
  • 無許可(白ナンバー)での費用請求が招く法的リスクと罰則
  • 保険会社から正当な代車費用を認めさせるための条件
  • 既存の設備と人材を活かし、低コストでレンタカー事業を始める手順

 

整備工場の車の修理中に借りられる代車とレンタカーの違いとは?

 

長年、日本の自動車整備業界において「代車」は、サービスの一環として当たり前のように提供されてきました。
しかし、車両価格の高騰や維持費の増大に伴い、この「無料サービス」が整備工場の経営を静かに、しかし確実に圧迫しています。

一方で、一般のユーザー(お客様)は「代車」と「レンタカー」の法的な違いや、その裏にあるコスト構造をほとんど意識していません。
お客様から「もっと綺麗な車はないのか」と要望された際、プロとしてどのように回答すべきか、また経営者としてこの構造をどう捉え直すべきか。

まずは、この両者の決定的な違いを、法的な観点と経営的な観点の双方から整理します。

 

車を預ける際に知っておきたい代車とレンタカーの定義

 

まず結論から申し上げますと、整備工場が貸し出す「代車」と、レンタカー会社が提供する「レンタカー」の最大の違いは、「お金を頂くことができるか否か」という点にあります。
これは単なるサービス名称の違いではなく、道路運送法という法律に基づいた厳格な区分です。

多くの整備工場で常態化している「無料代車」は、法律上「自家用自動車」として登録されているケースがほとんどです。
ナンバープレートは通常の白ナンバー(または軽自動車の黄色ナンバー)であり、これをお客様に貸し出すこと自体は問題ありません。

しかし、ここには「無償で貸し出さなければならない」という絶対的なルールが存在します。
もし、白ナンバーの代車を貸し出して「代車費用」や「使用料」といった名目で1円でも金銭を受け取れば、それは無許可でのレンタカー営業(道路運送法違反)となり、厳しい処罰の対象となります。

対して「レンタカー」は、国土交通省から「自家用自動車有償貸渡許可」を受け、専用の「わ」ナンバー(または「れ」ナンバー)を装着した車両を指します。
こちらは法的に「有償」での貸し出しが認められた車両であり、堂々と対価を請求できる「商品」です。

整備工場の現場では、修理期間中に借りられる足として、両者が混在しているケースも少なくありません。
しかし、経営者としては「代車=コストのかかるサービス品」「レンタカー=利益を生む商品」という明確な線引きを持って管理する必要があります。

 

なぜ整備工場の代車は「質が低い」という不満を招きやすいのか

 

「代車がタバコ臭い」「エアコンの効きが悪い」「ボロボロの軽自動車で恥ずかしい」。
こうしたお客様からの不満の声に、頭を悩ませている経営者様も多いのではないでしょうか。
しかし、経営コンサルタントの視点から言えば、無料代車の質が低くなるのは、経済合理性から見て必然です。

整備工場にとって、無料代車は「利益を生まない資産」です。
車両本体価格に加え、毎年の自動車税、車検費用、任意保険料、消耗品の交換費用など、維持するだけで年間数十万円単位の固定費が出ていきます。
もし20台の無料代車を抱えていれば、それだけで数百万円規模の利益が吹き飛んでいる計算になります。

そのような状況下で、最新モデルの新車を無料代車として用意できる工場はごく一部の大手に限られます。
多くの場合、お客様からの下取り車や、廃車寸前の車を「とりあえず動くから」という理由で代車に転用せざるを得ません。
現場のメカニックが忙しい合間を縫って清掃しても、長年染み付いた汚れやオイルの匂いまでは取りきれないのが現実です。

お客様は「のプロなのだから、代車も整備が行き届いた良い車だろう」と期待して借りる傾向にあります。
この「期待」と、経営上の「限界」のギャップが、クレームや満足度低下の温床となっているのです。
プロとして答えるべき正解は、「品質の高い車には、それ相応の維持コストがかかっており、無料で提供するには限界がある」という事実を、誠実に伝えていくことかもしれません。

 

利用者側の視点:事故時や車検時にかかる費用の考え方

 

お客様がを修理に出すシチュエーションによって、車やレンタカーにかかる費用の考え方は大きく異なります。
特に経営者が知っておくべきは、一般ユーザーがネットで「代車 レンタカー 違い」と検索する際の意図です。
彼らは「いつ有料になり、いつ無料になるのか」という損得の基準を探しています。

以下に、代表的なケースごとの違いを整理しました。

 

ケース 一般的な対応(代車・レンタカー) 費用の負担者
車検・一般整備 工場の無料代車(空きがあれば)

※質の指定はできないことが多い

原則無料(工場の持ち出し)

※レンタカー指定の場合は利用者負担

もらい事故

(相手方100%過失)

レンタカーの手配が可能

※同等クラスの車が認められやすい

相手方の保険会社が負担

※ただし「必要性」と「相当性」の認定が必要

自損事故

(自分の過失)

自身の車両保険(代車特約等)を利用

または工場の無料代車に相談

特約があれば保険でカバー

特約なしでレンタカーを借りれば自己負担

 

特に重要なのが、事故のケースです。相手方に過失がある事故や、お客様自身の自動車保険に「レンタカー費用特約(代車特約)」が付帯されている場合、修理期間中の足として正規のレンタカー費用が保険金から支払われます。

しかし、ここで工場側が「わ」ナンバーの許可を持っていない場合、せっかくの保険金請求のチャンスを逃すことになります。
保険会社は原則として、レンタカー事業許可のない事業者が貸し出した白ナンバー代車に対して、正規の代車費用(レンタカー料)を支払うことはありません(謝礼程度が出ることはあっても、相場より遥かに低額です)。

つまり、お客様にとっても「しっかりとした補償を使って、きれいで安全な車に乗りたい」というニーズがあるにも関わらず、工場側がそれに応えられないという「機会損失」が発生しているのです。
このことからも、整備工場が自社でレンタカー機能を持つ、あるいは提携することは、単なる有料化以上の意味を持っています。

次章では、この「機会損失」だけでなく、白ナンバーでの不適切な費用請求が招く法的なリスクについて、さらに深く掘り下げて解説します。

 

知らないと危険!無許可での代車費用請求に関わる法的リスク

 

「うちは長年、近所のお客様との信頼関係でやってきたから大丈夫だ」
「あくまで『謝礼』として少しもらっているだけだから、レンタカー事業には当たらないはずだ」

もし経営者の皆様の中に、このような認識をお持ちの方がいらっしゃるとすれば、それは非常に危険な状態にあると言わざるを得ません。
コンプライアンス(法令遵守)が厳格化された現代において、無許可での自動車貸し出しに対する監視の目は、かつてないほど厳しくなっています。

ここでは、整備工場が良かれと思って行っている慣習が、なぜ法的なリスクを招くのか、そして万が一の際に経営を揺るがす事態になり得るのかについて、シビアな現実をお伝えします。
これは皆様の会社と従業員、そして何よりお客様を守るために直視すべき課題です。

 

「わ」ナンバー(自家用自動車貸渡許可)なしの有償貸出が違法となる理由

 

結論から申し上げます。国土交通省の許可を受けず、いわゆる「わ」ナンバー以外の白ナンバー(自家用自動車)を貸し出して対価を得る行為は、道路運送法違反という明確な犯罪です。

具体的には、道路運送法第80条に「自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない」という原則があり、貸渡(レンタカー)事業を行う場合も同法の許可が必要です。
これに違反した場合、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(またはその併科)」という、非常に重い刑罰が科される可能性があります。

現場の経営者様からよく相談を受けるのが、「名目を変えれば大丈夫ではないか」という疑問です。

  • 「代車料」ではなく「代車管理手数料」として請求する
  • 「ガソリン代」として実費より少し多めに頂く
  • 「次回車検の割引」と引き換えに現金を頂く

残念ながら、これらはすべて「実質的な対価」とみなされる可能性が高いです。
行政や裁判所の判断基準は、「名目が何であるか」ではなく、「客観的に見て、車両の貸し出しに対する経済的な利益(対価)が発生しているか」にあります。

特に注意が必要なのは、保険会社への請求時です。
お客様が被害事故に遭い、相手方の保険会社に修理期間中の代車費用を請求しようとした際、工場側が白ナンバーの代車を提供していると、担当アジャスター(損害調査員)から必ず指摘が入ります。

「御社の代車は『わ』ナンバーではありませんね。レンタカーとしての営業許可がない車両に対して、正規のレンタカー料金をお支払いすることはできません」

こう言われてしまえば、反論の余地はありません。無理に請求を続ければ、保険金詐欺未遂や不正請求と疑われ、保険会社との協定(提携)関係を切られるリスクすらあります。
これは、将来にわたって事故修理の入庫が激減することを意味し、工場の経営にとって致命的なダメージとなりかねません。

 

事故発生時に保険金が支払われない?コンプライアンス欠如が招く最悪の事態

 

無許可営業のリスクは、単に「代車費用がもらえない」だけでは済みません。
さらに恐ろしいのは、貸し出した代車でお客様が事故を起こしてしまったケースです。

通常、整備工場が保有する代車には、業務用(フリート契約など)の任意保険を掛けているはずです。
しかし、この保険契約はあくまで「業務遂行上、無償で貸し出す代車」や「自社の業務で使用する車」を前提としています。

もし、お客様から何らかの形で金銭を受け取っており、それが「有償貸渡(レンタカー行為)」の実態があると認定された場合、どうなるでしょうか。

保険会社は約款に基づき、「通知義務違反」や「用途外使用」を理由に、保険金の支払いを拒否(免責)する可能性があります。

「代車で人身事故を起こしてしまったが、工場の保険が使えない」となれば、被害者への賠償責任は、運転していたお客様と、貸し主である工場(運行供用者責任)に重くのしかかります。
数千万円、場合によっては億単位の賠償金を、保険なしで支払わなければならない事態を想像してみてください。

  • お客様からの信頼失墜:「保険に入っていると言ったのに嘘だったのか」と詰め寄られます。
  • 会社の存続危機:巨額の賠償金と社会的信用力の低下で、倒産に追い込まれるケースも現実に存在します。
  • 刑事責任の追及:無許可営業が事故の原因に関連していると判断されれば、警察の捜査対象にもなります。

このように、目先の数千円、数万円の利益を求めて、あるいは「昔からの慣習だから」という理由でコンプライアンスを軽視することは、整備工場の経営においてあまりにも割に合わないリスクです。

逆に言えば、正規の手順で「レンタカー許可」を取得し、適切な保険に加入することは、お客様に「安心」という付加価値を提供することに他なりません。
お客様が「代車 レンタカー 違い」と検索した際に、「当店の代車はすべて正規のレンタカー登録済みで、万全の保険に加入しています」と胸を張って答えられること。
これが、これからの整備工場に求められる信頼の証なのです。

次章では、こうした法的リスクを回避した上で、それでもなお多くの工場が抱える「無料代車の維持費」という経営課題に切り込みます。
赤字を垂れ流す無料代車から脱却し、収益化へ向かうための考え方を整理していきましょう。

 

修理期間中に無料で代車を提供し続ける経営上のデメリット

 

前章では、無許可での代車貸し出しが抱える法的な危険性について解説しました。
しかし、コンプライアンスの問題以前に、多くの整備工場経営者を悩ませているのは「無料代車」という商習慣そのものが抱える構造的な欠陥です。

「代車はサービス品だから利益が出なくても仕方がない」
この考え方は、車両価格や維持費が安かった時代には通用したかもしれません。
しかし、物価高騰と人件費の上昇が続く現代において、利益を生まない資産を抱え続けることは、経営の首を真綿で締めるようなものです。
本章では、どんぶり勘定になりがちな無料代車のコストを可視化し、修理期間中の足として安易にを提供し続けることが、いかに工場の成長を阻害しているかを、経営コンサルタントの視点で冷徹に分析します。

 

車両代・税金・保険料……無料代車が利益を圧迫する「見えない損失」

 

まず、経営者の皆様に問いたいのは、「自社の無料代車1台あたり、年間いくらの維持費がかかっているか正確に把握していますか?」という点です。

多くの工場では、下取り車や廃車寸前の軽自動車を代車に転用することで、「車両代はタダみたいなもの」と錯覚しがちです。
しかし、車を維持し、公道を走らせるためには、車両本体価格以外にも多額のランニングコストが発生します。

以下に、軽自動車1台を代車として維持する場合の年間コスト(概算)を試算してみましょう。

 

費目 年間概算費用 備考
自動車税・重量税・自賠責 約 30,000円 車検費用を年換算して合算
任意保険料(業務・代車用) 約 60,000円〜 年齢条件やフリート契約により変動
消耗品・メンテ費 約 40,000円 タイヤ、オイル、バッテリー、ワイパー等
駐車場代(地代家賃) 約 60,000円 月5,000円として換算(自社敷地でも機会損失として計上)
合計(1台あたり) 約 190,000円 利益を生まない固定費

 

いかがでしょうか。1台あたり年間約19万円。もし代車を10台所有していれば、年間190万円ものキャッシュが、何も生まないまま消えている計算になります。
これは、車両本体価格を含まない、純粋な維持費だけの数字です。

さらに見落としがちなのが「人件費」という見えないコストです。

  • 貸し出し前の洗車や車内清掃
  • お客様への貸渡説明や契約書の作成
  • 返却後の点検やガソリン補充の確認

これらはすべて、本来なら整備作業で稼げるはずのメカニックやフロントスタッフの貴重な時間を奪っています。
時給換算すれば、さらに数十万円のコストが上乗せされるでしょう。

修理の工賃でこの赤字分を回収しようとすれば、結果として整備料金全体を値上げせざるを得なくなります。
しかし、それでは競合店との価格競争に負けてしまう。このジレンマこそが、無料代車モデルが抱える最大の経営リスクなのです。

 

顧客満足度を維持しながら「有料化」を納得してもらうための説明術

 

「維持費がかかるのは分かるが、有料化したらお客様が怒って離れてしまうのではないか」

多くの経営者様がこの不安を口にします。しかし、私のコンサルティング経験から言えば、「伝え方」と「選択肢の提示」さえ間違わなければ、有料化によって顧客離れが起きることは稀です。
むしろ、サービスの質が向上し、満足度が上がるケースすらあります。

なぜなら、お客様の中には「タダのボロい車より、お金を払ってでも綺麗な車に乗りたい」という潜在的なニーズがあるからです。

納得してもらうためのポイントは、一方的な「有料化の通告」ではなく、「品質向上のための提案」として説明することです。例えば、以下のようなトークスクリプトが有効です。

 

「お客様、これまでは古いお車を無料で貸し出していましたが、エアコンの効きや清掃面でご不便をおかけしておりました。
そこで当店では、安心して快適にお乗りいただけるよう、しっかりと整備・清掃された高年式のレンタカーをご用意しました。
車検や修理の期間中、1日○○円という格安料金でご利用いただけますが、いかがなさいますか?」

 

このように、「無料の代車(質は保証しない)」と「有料のレンタカー(快適・安心)」という選択肢を提示することで、お客様自身に選んでもらうのです。

また、昨今のガソリン価格や車両価格の高騰は、一般ニュースでも連日報じられています。
「サービスの維持・向上のため、一部ご負担をお願いしております」と誠実に説明すれば、多くの良識あるお客様は理解を示してくれます。
逆に、そこで理不尽なクレームをつける顧客は、工場の利益を圧迫するだけの存在である可能性が高く、経営的な視点では「顧客の選別」にもつながります。

 

代車不足による入庫制限を解消し、工場の回転率を向上させる方法

 

最後に、経営効率の観点から「代車の有料化」がもたらす最大のメリットをお伝えします。
それは、「代車不足による機会損失の解消」です。

「整備をお願いしたいんだけど」と電話があった際、「すみません、今代車が全部出払っていて、来週なら空くのですが……」と答えてしまった経験はないでしょうか。

お客様の都合は待ってくれません。
その電話の直後、お客様は代車がある別の工場に電話をかけ、二度と戻ってこないかもしれません。
これは、修理代金数万円〜数十万円の売上を、みすみす逃していることになります。

無料代車の最大の問題点は、お客様に「返すインセンティブ」がないことです。
「タダだから、修理が終わっても週末に取りに行けばいいや」と考えるお客様によって、代車が不必要に長く拘束されてしまいます。
これが代車不足の主因です。

これをレンタカーとして有料化(あるいは期限を過ぎたら有料化)すると、状況は一変します。

  • 「1日でも早く返して料金を抑えたい」という心理が働き、速やかに返却されるようになります。
  • 回転率が上がることで、同じ台数でもより多くのお客様に対応できるようになります。
  • 「どうしても代車が必要な人」だけが利用するため、代車の稼働が最適化されます。

さらに、自社でレンタカー許可を取得していれば、代車が足りない繁忙期には、提携するレンタカー会社から業販価格で借りてきて、お客様には通常料金で貸し出すといった柔軟な運用も可能になります。

「代車は工場の回転率を上げるための潤滑油」です。
しかし、無料であるがゆえにその潤滑油が滞留し、逆に工場の動きを止めてしまっているのが現状ではないでしょうか。
有料化と適切な管理は、この滞留を解消し、工場の収益力を最大化するための必須条件なのです。

 

保険事故のケースで適切な代車費用を認めてもらうための条件

 

整備工場の経営者にとって、事故修理(板金塗装)の入庫は、技術力を発揮し、大きな売上を作る重要な機会です。
その際、修理期間中にお客様へ貸し出す代車の費用について、保険会社と「払える」「払えない」の押し問答になった経験はないでしょうか。

「今回は代車特約に入っていないので出ません」
「代車費用は認めますが、日額は○○円までです」

アジャスター(損害調査員)からのこうした通告を、言われるがままに受け入れてしまっていませんか?
実は、適切な知識と準備があれば、正当な権利としてレンタカー費用を請求できるケースは多々あります。

本章では、保険会社がどのような基準で費用の支払いを認定しているのか、その裏側にあるロジックを解明し、整備工場が泣き寝入りせず、適正な利益を確保するための条件を解説します。

 

保険会社との交渉をスムーズにするレンタカー費用の認定基準

 

まず大前提として、保険会社は「支払いを渋っている」わけではなく、「約款と法律に基づいた支払基準(認定基準)」に合致しないものを弾いているに過ぎません。
逆に言えば、この基準さえ満たしていれば、スムーズに満額回答を引き出すことが可能です。

保険実務において、代車費用(レンタカー費用)が認められるためには、主に以下の3つの壁(要件)をクリアする必要があります。

 

1. 「必要性」の壁

「修理に出しているから代車が必要」というのは、あくまで整備工場側の理屈です。
保険会社が認める「必要性」とは、「代車がなければ被害者(顧客)の日常生活や業務に具体的な支障が出るか」という点です。

  • 通勤・通学に毎日使用している
  • 業務での営業周りや配送に不可欠である
  • 家族の送迎(通院や介護など)で代替手段がない

これらが明確であれば「必要性あり」と認定されます。
一方で、「週末しか乗らない」「家に別の車がある」「公共交通機関で容易に代替できる」といったケースでは、支払いを拒否、あるいは日数を制限されることがあります。

 

2. 「相当性」の壁

次に問われるのが「どんな車を借りるか」です。
基本的には、被害車両と同等クラス(排気量や車種区分)のレンタカーであれば「相当性あり」とみなされます。

ここで重要なのは、「高級車には高級車を」という原則はあるものの、過剰なアップグレードは認められない点です。
例えば、軽自動車の修理期間中に高級セダンを貸し出せば、その差額は否認されます。
逆に、お客様が「足になれば何でもいい」と言って軽自動車のレンタカーを利用する場合、相手が高級車であっても問題なく認められます(そして工場側は、軽レンタカーの実費を請求します)。

 

3. 「事業者要件」の壁(最重要)

そして、本記事で繰り返し強調しているのがこの点です。
保険会社が「代車費用」として金銭を支払う相手は、原則として「レンタカー事業の許可を受けた事業者」に限られます。

過去には、白ナンバーの代車でも「謝礼」程度の日額が支払われる慣習がありましたが、コンプライアンス強化により、現在はほぼ全廃されています。
正規の「わ」ナンバーであり、かつ「貸渡約款」や「料金表」が陸運支局に届け出されていること。これが、交渉のテーブルに着くための最低条件です。

これらの条件を満たした上で、「いつからいつまで借りるか(認定期間)」の交渉に入ります。
一般的に、修理の実工数(作業時間)に部品手配や乾燥時間を加えた「社会的相当期間」が認定されます。
ここで不当な引き伸ばしがないことを証明するためにも、正確な工程管理が求められます。

 

適切な代車(レンタカー)提供を行うための業務フローと必要書類

では、実際に事故車が入庫した際、どのような手順で進めればトラブルなく費用を回収できるのでしょうか。
現場で使える具体的な業務フローを紹介します。

Step 1: 入庫時のヒアリングと「必要性」の確認

お客様から電話があった時点で、以下の情報を必ず確認し、メモに残します。

  • 「お車は普段、どのような用途でお使いですか?」(通勤、業務、送迎など)
  • 「修理期間中、代車がないと具体的にどのようなお困りごとが発生しますか?」
  • 「他に利用できるお車はお持ちではありませんか?」

この答えをアジャスターにそのまま伝えるだけで、「必要性の認定」が格段にスムーズになります。
「お客様が困ると言っているから」ではなく、「通勤で毎日往復20km使用しており、始業時間に間に合うバス路線がないため不可欠」といった具体的根拠を示すのがプロの仕事です。

 

Step 2: レンタカー貸渡証(契約書)の作成

正規のレンタカーとして貸し出す以上、道路運送法で定められた「貸渡証」の作成が必須です。

  • 貸渡日時と返却予定日時
  • 貸渡車両の登録番号(わナンバー)
  • 運転者情報(免許証コピー)
  • 適用される料金プランと保険補償内容

これらを記載した書類にお客様の署名をいただき、その写しを保険会社に提出します。
この書類が「正規の取引」であることの証明書(エビデンス)となります。
手書きのメモや口頭での約束では、支払い能力のある保険会社相手には通用しません。

 

Step 3: 修理期間の正当性を証明する資料の準備

アジャスターとの交渉で最も揉めるのが「貸出期間」です。
「この修理内容なら実働3日で終わるはずだから、代車も3日分しか見ません」と言われた際、どう反論するか。

  • 部品発注の証拠:部品の納期回答書や、欠品証明書を提示し、「部品が届くまで作業に着手できなかった待機期間」を認めさせる。
  • 作業工程表(写真付き):分解、板金、パテ、塗装、磨きといった工程ごとの進捗写真を残し、「物理的にこれだけの日数が必要だった」事実を示す。

これらの資料をセットにして「協定(損害額の確定)」を行うことで、不当な減額を防ぐことができます。

このように、保険事故のケースにおける費用の請求は、一種の「書類作成業務」であり「交渉業務」です。

「面倒だ」と感じるかもしれません。
しかし、これまで無料(タダ)で貸していた代車が、1日あたり5,000円〜10,000円、期間によっては数万円〜十数万円の「売上」に変わるとしたらどうでしょうか。
月間で数件の事故入庫があれば、それだけで数十万円の粗利増となります。

これを実現するためには、やはり自社で「レンタカー事業許可」を取得し、堂々と請求できる体制を整えることが、経営強化への最短ルートなのです。
次章では、いよいよその具体的な導入手順について解説します。

 

整備工場が有償で車を借りるニーズに応えて収益化する手順

 

「レンタカー事業を始めるには、莫大な初期投資や複雑な手続きが必要なのではないか?」

多くの整備工場経営者様が抱くこのイメージは、半分正解で半分間違いです。
確かに大手レンタカー会社のような新車ラインナップを揃え、駅前に店舗を構えようとすれば数千万円の投資が必要でしょう。
しかし、皆様がすでにお持ちの「整備工場」「展示スペース」「整備士」「中古車」という資産を活かせば、驚くほど低コストで参入することが可能です。

本章では、整備工場が既存のリソースを最大限に活用し、お客様が有償で借りるニーズに応えて、着実に収益化していくための具体的な手順を解説します。

 

自社単独でのレンタカー事業登録(レンタカー許可)のハードル

 

まず最初にクリアしなければならないのが、法的許可の取得です。
前述の通り、有償で車を貸し出すには国土交通省(運輸支局)から「自家用自動車有償貸渡許可」を得る必要があります。

自社単独で申請を行う場合の主な要件とハードルは以下の通りです。

 

要件 整備工場におけるクリアの難易度
人(管理体制) 容易

「整備管理者」は既に選任されているはずです。事務所ごとの責任者配置も、既存スタッフで対応可能です。

物(事務所・車庫) 容易

認証工場であれば事務所と車両保管場所は確保されています。新たに土地を借りる必要はありません。

金(財産的基礎) 普通

直近の決算書等で、事業を遂行できる十分な資金があるか審査されます。赤字決算等の場合は説明資料が必要になることがあります。

書類(約款・料金表) やや困難

「貸渡約款」や「料金表」を独自に作成し、届け出る必要があります。法的に不備がないものを作るには専門知識が必要です。

登録免許税 必須

許可申請時に一律9万円の納付が必要です。

 

ご覧の通り、整備工場は一般的な異業種参入に比べて、圧倒的に有利なスタートラインに立っています。
最大のハードルは「申請書類の作成」と「約款の整備」ですが、これらは行政書士に依頼するか(報酬相場:10〜20万円程度)、後述するフランチャイズ(FC)に加盟することでパッケージとして提供を受けることが可能です。

許可さえ下りれば、あとは所有する車両を管轄の陸運支局に持ち込み、ナンバープレートを「わ」ナンバー(または「れ」ナンバー)に変更する登録手続きを行うだけです。
この時点で、その車は「経費を食う代車」から「売上を生むレンタカー」へと生まれ変わります。

 

空きスペースと既存の人材を有効活用する「代車兼レンタカー」モデル

 

許可を取得した後、最も効率的に収益化を図る運用方法が「代車兼レンタカー」というハイブリッドモデルです。

すべての車両を常に「有料レンタカー」として稼働させる必要はありません。
普段は整備入庫のお客様へのサービス代車(実質無料、あるいは低額な協力金)として運用し、保険事故の入庫や一般のお客様から「借りる」依頼があった時だけ、正規料金のレンタカーとして貸し出すのです。

このモデルには、整備工場ならではの3つのメリットがあります。

  • 在庫リスクの解消
    下取りで入ってきた「まだまだ走れる車」をレンタカー登録します。仕入れ原価は実質ゼロに近いケースも多く、減価償却も終わっていれば、維持費以上の利益を出すのは容易です。
  • 稼働率の平準化
    レンタカー専業店は「車が借りられない日」が続くと赤字になりますが、整備工場なら「空いている日は代車として活用」できるため、車両を遊ばせることがありません。
  • 整備コストの内製化
    貸し出し前の点検や、返却後のオイル交換、傷の補修などを自社で行えるため、外注費がかかりません。「整備が行き届いた安全な車」という付加価値もアピールできます。

 

この運用により、これまで1円にもならなかった代車が、保険事故の際には「日額5,000円〜7,000円×修理期間(14日〜30日)」の売上を生み出す強力な収益源となります。

 

地域の「安く借りたい」という一般客を取り込む集客のポイント

 

保険事故の代車需要だけでなく、さらに収益を安定させるには、地域の一般のお客様(個人・法人)を取り込むことが重要です。

大手レンタカー会社は新車を使用しているため、料金が高額になりがちです。
しかし、世の中には「引っ越しで半日だけ軽バンを使いたい」「子供の送迎で数日だけ足が必要」「安く済むなら型落ちの中古車で十分」というニーズが山のように存在します。

整備工場がこの「格安レンタカー」市場に参入する際の集客ポイントは以下の通りです。

 

  • Web集客(MEO対策)の強化
    Googleマップで「地域名+レンタカー」「地域名+格安レンタカー」と検索された際に上位表示されるよう、Googleビジネスプロフィールの登録情報を充実させます。「整備工場直営だから安心」という口コミを集めるのも効果的です。
  • のぼり旗と看板の設置
    工場の前を通るドライバーや歩行者に向けて、「1日○○円〜 格安レンタカー」「軽トラ貸します」といった分かりやすいのぼりを立てます。地域住民への認知スピードはアナログな手法が依然として最強です。
  • 既存客へのチラシ配布
    車検やオイル交換で来店されたお客様に、「実はレンタカーも始めました。ご家族やご友人で車が必要な方がいればご紹介ください」とチラシを渡します。信頼関係のある既存客からの紹介は成約率が非常に高いです。

 

こうして「車を借りるならあそこの整備工場が安いし安心」という評判が地域に定着すれば、レンタカー利用をきっかけに、新たな車検客や中古車購入客を獲得する「入り口」としても機能し始めます。

しかし、自社単独ですべての集客やWeb戦略、予約管理システムを構築するのは、本業の整備業務が忙しい中では限界があるかもしれません。
そこで選択肢に入ってくるのが、すでに確立されたブランドとノウハウを持つフランチャイズ(FC)への加盟です。
次章では、その代表格である「ガッツレンタカー」を活用した戦略について解説します。

 

ガッツレンタカー加盟で代車を「コスト」から「利益」に変える戦略

 

前章では、自社のリソースを活用してレンタカー事業を立ち上げる手順について解説しました。
しかし、実際に自社単独(オリジナルブランド)で事業をスタートさせると、多くの経営者様が新たな壁に直面します。それは「集客の難しさ」と「運営システム構築の手間」です。

「看板を出したのに、一般のお客様が全く来ない」
「予約の電話対応や契約書の紙管理が面倒で、現場の整備士から不満が出ている」

こうした課題を一挙に解決し、最短距離で収益化を目指すための選択肢として、フランチャイズ(FC)への加盟があります。
特に整備業界と親和性が高く、現在圧倒的な店舗数を誇る「ガッツレンタカー」のビジネスモデルは、まさに「整備工場車有料化」を成功させるための最適解と言えるかもしれません。
本章では、なぜ多くの整備工場がこのFCを選び、赤字だった代車部門を黒字化させているのか、その戦略的な理由を紐解きます。

 

格安レンタカーFC最大手のノウハウが整備工場の経営課題を解決する

 

結論から申し上げますと、ガッツレンタカーに加盟する最大のメリットは、「言い訳」ができること「圧倒的な集客力」の2点に集約されます。

まず1点目の「言い訳」についてです。
長年、無料で車を貸し出してきた工場がいきなり「明日から有料です」と宣言すれば、既存客からの反発は避けられません。
しかし、店舗の一角に緑色の看板を掲げ、「実はこの度、ガッツレンタカーの店舗として運営することになりました」と説明すればどうでしょうか。

お客様は「ああ、全国チェーンのお店になったのなら、ルールが変わっても仕方がないね」と、心理的な納得感を持ちやすくなります。
経営者としても、「私の意地悪で有料にするのではなく、FCの規定なんです」というスタンスを取ることで、顧客との良好な関係を崩さずに有料化(=レンタカー化)へ移行できるのです。

2点目は「集客力」です。自社ブランドで「○○モータースレンタカー」と看板を出しても、地域の人々が「車を借りるならあそこ」と認知するまでには数年の歳月と広告費がかかります。

一方で、ガッツレンタカーはWeb検索において圧倒的な強さを持っています。
「地域名+格安レンタカー」で検索すれば、多くの場合ガッツの店舗が上位に表示されます。
これにより、整備入庫のお客様(代車需要)だけでなく、近隣住民のレジャーやビジネス利用(一般レンタカー需要)を初月から取り込むことが可能です。

稼働率の差は、そのまま利益の差になります。

  • 自社単独の場合:整備入庫がない時期は、車が駐車場で眠っている(稼働率低)。
  • FC加盟の場合:整備客がいない時は、Web経由の一般客に貸し出す(稼働率高)。

このように、整備需要の波を一般客の需要で埋めることで、車両という資産を常にフル稼働させ、「コスト」を生まない体制を作ることができるのです。

 

代車管理のDX化と中古車流通を活かした低コスト運用の仕組み

 

もう一つ、経営者が注目すべきは運営の効率性です。整備工場の現場は常に時間との戦いです。
メカニックが油まみれの手を洗って電話を取り、紙の予約台帳にペンで記入し、免許証のコピーを取ってファイリングする……といったアナログな管理は、業務効率を著しく低下させます。

大手FCに加盟することで導入される「業務システム(DXツール)」は、こうした現場の負担を劇的に軽減します。

 

業務プロセス 従来のアナログ管理 FCシステム導入後
予約受付 電話のみ。営業時間外は取りこぼす。言った言わないのトラブルも。 Web・アプリで24時間自動受付。空車状況もリアルタイム反映。
顧客・車両管理 紙の台帳。車検時期やオイル交換時期を見落としがち。 クラウド管理。整備時期のアラート機能で管理漏れを防ぐ。
契約手続き 紙の契約書に手書き。記入に時間がかかり顧客を待たせる。 タブレットで電子署名。過去履歴から自動入力され、数分で完了。

 

こうしたシステムの導入は、単なる事務作業の削減だけでなく、整備士が本来の業務である「整備」に集中できる環境を作ります。

さらに重要なのが、「出口戦略(車両の売却)」におけるメリットです。
ガッツレンタカーのモデルは、低年式・過走行の中古軽自動車を再利用することを基本としています。
これは整備工場が得意とする領域ですが、FC本部が持つ中古車流通ノウハウと連携することで、さらなる利益が見込めます。

  • 安く仕入れる:自社の下取り車や、FC共有在庫から市場価格より安く車両を調達。
  • 長く稼ぐ:自社の整備技術でコンディションを維持し、レンタカーとして限界まで収益化。
  • 高く売る:レンタカーとしての役目を終えた後も、適切な整備履歴(記録簿)があるため、業者オークションや輸出ルートを通じて適正価格で売却可能。

つまり、車両を「仕入れてから手放すまで」の全期間において利益を生み続けるサイクルが完成します。

もちろん、FC加盟には加盟金やロイヤリティといったコストが発生します。
しかし、自社でゼロから予約システムを開発したり、広告宣伝費をかけてブランドを認知させたりするコストと比較すれば、その投資対効果(ROI)は決して悪くありません。

「代車維持費の削減」という守りの姿勢から、「レンタカー事業による収益拡大」という攻めの経営へ。
FCというパッケージを活用することは、整備工場が次の時代を生き残るための、現実的かつ強力な選択肢となり得るのです。

 

本記事に関連する整備業界の収益モデル改革と今後の展望

 

記事を通じて、これまで「無料サービス」として整備工場の経営を圧迫していた代車を、「収益を生むレンタカー」へと転換する必要性と具体的な手法について解説してきました。
しかし、この取り組みは単なる「代車費用の削減」や「小遣い稼ぎ」に留まる話ではありません。

自動車整備業界は今、かつてない激動の時代を迎えています。若者の離れ、高齢者の免許返納、カーシェアリングの普及による保有台数の頭打ち、そしてEV(電気自動車)化による部品点数の減少と整備需要の縮小。
これらに加え、特定整備制度やOBD検査への対応など、設備投資とコンプライアンスの負担は増すばかりです。

このような厳しい環境下において、レンタカー事業への参入は、整備工場が「待ちの経営」から脱却し、地域に必要とされ続けるための「経営改革」そのものと言えます。
最後に、本記事関連する視点として、既存事業との相乗効果と、これからの時代に求められる多角化経営のあり方について展望します。

 

既存の整備事業とレンタカー事業がもたらす強力な相乗効果

 

「整備」と「レンタカー」。一見すると異なる業種のように思えますが、実はこれほど相性の良い組み合わせは他にありません。
両輪が回ることで、単独では成し得ない強力なシナジー(相乗効果)が生まれます。

1. 「技術」がレンタカーの原価を下げる

一般的なレンタカー会社にとって、車両の維持管理費(車検、点検、修理、タイヤ交換など)は外部に支払う多額のコスト(流出経費)です。
しかし、整備工場にとってこれらは「原価(社内工数と部品代)」で済むものです。
プロの整備士が日常的にメンテナンスを行うことで、過走行の中古車であっても安全に、長く稼働させることができます。
他社が廃車にするような車を、技術力によって「利益を生む資産」として延命できる点は、整備工場だけが持つ圧倒的な競争優位性です。

 

2. レンタカーが「見込み客」を連れてくる

新規のお客様が整備工場を訪れるハードルは意外と高いものです。
「強引に修理を勧められないか」「怖い職人さんがいないか」と不安を感じる方も少なくありません。
しかし、「借りる」という目的であれば、そのハードルは下がります。
レンタカー利用を通じて「このお店のスタッフは親切だ」「整備もしっかりしていて安心だ」という体験を提供できれば、そのお客様は将来の車検や修理、あるいは車両購入の有力な見込み客となります。
つまり、レンタカー事業は収益を生むと同時に、最強の「集客装置」としても機能するのです。

 

3. 出口戦略としての「レンタカーアップ販売」

レンタカーとして十分に収益を上げた車両は、最終的に中古車として販売(レンタカーアップ)することが可能です。お客様にとっても、整備履歴(メンテナンスノート)が明確で、プロが管理していた車両は安心感があり、購入の決め手となります。
「仕入れ→レンタカーで運用(インカムゲイン)→販売(キャピタルゲイン)」という、一台の車から二度も三度も利益を得る循環モデルが完成します。

 

2025年以降の整備工場に求められる「多角化経営」の視点

 

これからの時代、整備工場は単に「壊れたを直す場所」から、「地域のモビリティ(移動)を支える総合サービス拠点」へと進化する必要があります。

2024年に始まったOBD検査の本格運用や、急速に進む特定整備への対応は、小規模な工場にとって大きな負担となっています。
こうした設備投資や人材育成の原資を確保するためにも、労働集約型の整備売上だけに依存しない、多角的な収益の柱が必要です。

その第一歩として、本記事で提案した「代車の有料レンタカー化」は、最もリスクが低く、即効性のある施策です。
さらに将来的には、以下のような展開も視野に入ってくるでしょう。

  • カーリース・サブスクリプションへの参入
    短期のレンタカーだけでなく、月単位・年単位で車を貸し出すサービスです。所有から利用へシフトする顧客ニーズに対応し、毎月安定したストック収入を確保します。
  • 保険代理店業務の強化
    レンタカー貸出時に保険の提案を行うことで、自動車保険の獲得件数を伸ばします。事故対応から修理、代車提供までワンストップで対応できる強みは、大手損保会社からも重宝されます。
  • EV・次世代モビリティの拠点化
    EVの充電ステーションを設置し、充電待ちの時間にレンタカーを貸し出したり、電動キックボード等のマイクロモビリティを扱ったりすることで、新たな客層を呼び込みます。

「うちは職人の集まりだから、商売っ気は出したくない」

そう考える経営者様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、会社を存続させ、従業員の雇用を守り、そして何より地域の皆様に安全なカーライフを提供し続けるためには、「利益」が必要です。無料の車で疲弊するのではなく、適正な対価をいただきながら、より質の高いサービスを提供する。それこそが、プロフェッショナルとしての誠実な姿勢ではないでしょうか。

記事が、長年の商習慣や「代車はタダ」という思い込みから一歩踏み出し、貴社の経営が新たなステージへと進むきっかけになれば幸いです。
整備工場の未来は、決して暗くありません。その技術と資産をどう活かすか、経営者の決断一つで可能性は無限に広がっています。

 

よくある質問

 

Q1. 「わ」ナンバー登録をしていない代車で、ガソリン代や「謝礼」として少額を受け取るのは違法ですか?

A1. はい、違法となる可能性が極めて高いです。道路運送法では、許可なく自家用自動車(白ナンバー)を有償で貸し出すことを禁じています。名目が「ガソリン代(実費以上)」や「謝礼」であっても、実質的な対価とみなされれば処罰の対象となります。コンプライアンス遵守のため、必ず「自家用自動車有償貸渡許可」を取得し、「わ」ナンバーで運用することをお勧めします。

 

Q2. 長年の常連客に「代車有料化」を伝えると、客離れが起きないか心配です。

A2. 伝え方次第で、むしろ信頼を高めることができます。「維持費高騰のため」という事情を正直に伝えつつ、「その分、しっかりと整備・清掃された安全な車をご用意しました」と品質向上をアピールするのがポイントです。また、FC(フランチャイズ)加盟店としてリニューアルすることで、「店舗のルールが変わった」と説明しやすくなり、顧客の納得感を得やすくなるケースも多く見られます。

 

Q3. 事故の修理期間中であれば、必ず保険会社からレンタカー費用が支払われますか?

A3. 必ずしも支払われるとは限りません。保険会社は主に「必要性(通勤や業務での使用実態)」と「相当性(修理期間や車種クラス)」を審査します。また、貸し出す側(工場)が正式なレンタカー事業者でない場合、支払いを拒否されることが一般的です。適切な費用を受け取るためには、事前の許可取得と、修理期間の根拠を示す資料(工程表など)の提示が不可欠です。

 

Q4. 整備工場がレンタカー事業の許可を取得するのは難しいですか?

A4. 他業種に比べれば、整備工場は非常に有利です。許可要件である「整備管理者の選任」や「車庫・事務所の確保」といったハードルを、既存の設備と人材で既にクリアしているケースが大半だからです。主な手間は申請書類や貸渡約款の作成ですが、行政書士への依頼や、ノウハウを持つフランチャイズ本部からのサポートを受けることで、スムーズに参入可能です。

 

まとめ

 

本記事では、整備工場が長年抱えてきた「無料代車」の商習慣がもたらす経営リスクと、それを「収益を生むレンタカー」へと転換するための具体的な戦略について解説してきました。

車両価格や維持費が高騰する現代において、利益を生まない無料代車を維持し続けることは、もはや限界と言わざるを得ません。
それどころか、無許可での費用請求は道路運送法違反となり、万が一の事故の際に保険金が支払われないという致命的なリスクをはらんでいます。

しかし、見方を変えれば、整備工場は「整備技術」「車両」「保管場所」という、レンタカー事業に不可欠なリソースを既に持っている稀有な存在です。
正規の手続きを経て「わ」ナンバーを取得し、保険事故の際には正当なレンタカー費用を請求する。
そして空車時には地域の足として一般のお客様に貸し出す。
このサイクルを作るだけで、代車部門はコストセンターからプロフィットセンターへと生まれ変わります。

「手続きが面倒」「集客に自信がない」という場合は、ガッツレンタカーのようなフランチャイズ(FC)のノウハウを活用するのも有効な一手です。
重要なのは、変化を恐れず、「適正な対価をいただく」という経営判断を下すことです。

貴社の技術と資産を守り、次の時代も地域に愛される工場として存続するために、今こそ「代車のレンタカー化」への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

INTERVIEW

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レンタカー事業参入のきっかけや成功の秘訣をガッツレンタカーオーナー様に詳しくお聞きしました。

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